女性が女性を演じる唯一の役

久々にパソコンを立ち上げました。


季節は秋から冬へと移り、「タイタス・アンドロニカス」の公演も中盤にさしかかっています。
ご来場くださいましたお客様本当にありがとうございました。


まず大西さんのブログをよんで、頷いたり、笑えたり、反省したり。
大西さんはスタッフワークでもものすごいエネルギーを使っているのに、ブログでは冷静に稽古や芝居の様子をポイントを押さえて紹介できるのはすごいなぁと感じました。


私は今回混成バージョンの乳母を演じます。
阪口さんとダブルキャストです。
乳母はとても重要なものを持って登場し、きちんとわたして去らなければなりません。
とてもむずかしいです。
その分やりがいのある役です。やりたいと思っていた役をいただきました。
また女性が女性を演じる唯一の役でもあります。
伝えなければならない事をしっかり伝えなければ。


稽古始めから約2ヶ月が過ぎ、芝居や稽古にかかわるいろいろなことがありました。
全体的なことは勿論ですが、個人的なことにも影響されながら、なんとか初日を迎えられました。


少し落ち着いた今、川崎ファクトリーの皆様に心から感謝をしています。

公演中は本当にバタバタしてます。
その上で「タイタス・アンドロニカス」という本と「乳母」という役にまっすぐに向き合うことを再度自分にいい聞かせました。


全国の演劇ファンの皆様、シェイクスピアがお好きな皆様、是非観に来てください。
川崎ファクトリーで お待ちしています。

全力で

「タイタス・アンドロニカス」の稽古が始まり、明日で2週間。

プレリハといって劇団内の稽古が4日、シーズンメンバーも加わった稽古が4日。

プレリハから稽古に参加したのは今回が初めてなので、毎日が新鮮で熱い時間を過ごしてます。
初めて代役もやりました。
稽古が進むに連れて、「タイタス・アンドロニカス」にどんどん引き込まれてしまって読めば読むほどおもしろい。
稽古もおもしろいです。

ただ帰宅するときは、何だかんだと落ち込むことが多くて……。
いろいろ考えてしまって反省ばかりの毎日です。

8日間の稽古で思いました。「全力でやろう」って。
当たり前のことです。
でも人がたくさんいると理由をつけて途中でやめてしまってたりして、なかなかできなかったりします。
過去、板の上で全力で必死にやってました。
それってもしかしたら「おたく」化してたのでしょうか?

そうかもしれませんが、そうだとしても芝居にたずさわってる大切な時間、全力で稽古です。

ピンチをチャンスに

16日、研究センターでは「タイタス・アンドロニカス」を読みました。

「タイタス・アンドロニカス」に向けての所信表明の発表もしました。
その所信表明の下原稿を書いていて思ったんです。
「書くことによって決心が強まる」と。
そして演説が終わってさらに思いました。
「決心した事を人の前で発表することで、決意が固まる」と。
私の所信表明は内容としては少し的がはずれてしまったのですが、
それでも「タイタス・アンドロニカス」にどう取り組むか、自分なりに
整理ができた、とそのときは思っていました。



17日、研究センターでは前日に引き続き、「タイタス・アンドロニカス」を読みました。
・・・・・・・。

その日私は「タイタス・アンドロニカス」のこと、何も理解してなかったことに気がつきました。
私はこの一ヶ月、いやこの一年、いったい何をしてきたのでしょう。

上手い下手は別として(もちろん下手ですが)、
出演者の一人としての意識とか、痛みをともなう覚悟とか、希薄でした。
ASCに席を置いているから、キャスティングにかんする危機感もなく・・・。
もっとしっかり見て感じていかなければ。


それは本読みについても同様です。
作品に対する意識が低いせいで、台詞があいまいで説明的で嘘くさい。
時代劇みたいだとも彩乃木さんに言われました。(時代劇みたいな舞台、最近やりました)

振り子はマイナスに振れています。

そんな今こそ、きちんと責任を果たさなければいけないのです。

明日はいよいよ

小屋入り2日目の昨日、「アンダンテ」の稽古に行ってきました。

がざびぃをたずねたのは初めてですが、木の香りのする落ちついた空間でした。品格があって、モダンだけどどこか懐かしいような、まぁ、来てくださればわかりますのでよろしくお願いします。

朝9時からよる10時まで劇場で、それ以外の時でもいつでもASCは芝居のことやってます。稽古大好きなんですね。
「明日は11時に集合です。私は9時に来ますけど」「私も9時に来ます!」」「私も9時!!」とみんなはつらつとしてます。

芝居を作るって、本当に難しいです。時間をかければいいというものでもないし、こうしたら出来るという保証もありません。
それでも「アンダンテ」は歩くはやさで日々進化しています。

明日はいよいよ初日です。
のびのびと張り切っていきましょう。

凛として

芝居を観るとき私はできる限り早めに着席し、これから始まる舞台に思いを馳せる。

劇場は神楽坂のシアター・イワト 。


Rlung・風(ルン)第五回公演「乃木坂倶楽部」を観てきました
Rlung・風(ルン)は、声優古澤徹さんが、企画、作、演出のユニットです。


開演前、声優の堀内賢雄さんの朗読が流れて(美声です。セクシーでゾゾっとしちゃいました)。
瞳を閉じて聞きました。自分がどこにいるか忘れた一瞬がありました。


舞台は昭和4年。離婚の後単身上京した萩原朔太郎と、彼のもとを訪れる友人達(三好達治室生犀星辻潤、生田春月、宇野千代、そして芥川龍之介)の物語です。朔太郎は暗い時代の中、社会の無用物たる己に忸怩たる思いを抱きつつ、死ぬ根性もない小心者と嘆く。そんな朔太郎の厭世ぶりを宮崎稲穂さんが好演。じめじめした性格なのに何故か暗くなく、可愛い愛すべき朔太郎でした。


ストーリーよりは状況の中の心理状態を見せていく芝居でした。退屈と思った人もいたかもしれませんが、私はとても好きです。それぞれの苦悩とか詩に対する思いとか、背負ってるものへの様々な心の動きを、ひとりひとりの役者がリアリティーを持ちつつ美しく伝えてくれました。


今回、朔太郎の元妻上田稲子役で出演されてる瀬尾恵子さんは、私が昔いたプロダクションの声優部の先生です。 
瀬尾先生が「声優部で芝居をやろう」と言ってくださって、私に別役実の「不思議の国のアリス帽子屋さんのお茶の会」のチシャ猫をやらせてくださいました。
瀬尾先生と出会い、再び演劇と出会い私は、今こうして芝居を勉強しています。


瀬尾先生の上田稲子は凛としていました。子どもを捨てて男と出て行った妻。言語道断と言われますが、薄幸でも精一杯幸せを求めて凛として生きた姿はとても印象的でした。


オセローで客演された藤田三三三さんの所属されてる「遊戯空間」の篠本賢一さんも三好達治役で出演されてます。素敵な時間を頂きありがとうございました。

同じ釜の飯を・・・

合宿に、行ってきました。


食事と風呂以外は、稽古場を兼ねた部屋から出ることなく、当然のことながら芝居三昧の生活でした。
研究センターの課題、エチュード、「タイタス・アンドロニカス」のオーディション、「アンダンテ」の稽古など、どれもとても緊張しましたが、楽しくもあり、充実した時間を過ごすことが出来ました。


芝居に対する考え方や姿勢はひとりひとりみんな違います。
役の作り方もひとそれぞれです。
アンダンテの稽古をしててそれを特に感じました。
そしてひとりひとりの個性やものの考え方なども示しながら、「観客にゆだねる」割合も多いアンダンテはとても楽しい作品だなぁと感じました。


そのアンダンテの稽古に昨日行ってきました。
考え方、感じかたはいろいろあっても、いい舞台に立ちたい、いい芝居を作りたいという気持が伝わってきます。
ただ本公演では代表であり演出家の彩乃木先生がすべてにおいていつも方向を示して下さるし、研究センター長の菊地先生がアドバイスをしてくださいます。

それが無いアンダンテですから、前に進むのに本公演の倍以上時間がかかります。


ラストスパートです。

小諸なる古城のほとり

小諸にあるシェイクスピア美術館に行ってきました。

軽井沢に静養に行き足をのばしたんです。

200年以上前に描かれた古典絵画はすべて、シェイクスピアの作品の名場面がとてもリアルに描かれていて、登場人物一人一人の表情が豊かで、美しかったです。

館長であり西洋古典美術研究家の中山己充人先生に館内をご案内頂き、ゆっくりと拝観しました。
この美術館にはシェイクスピアのファンが全国からいらっしゃるそうです。
演劇関係の方は衣装は勿論、皇帝とそれ以外の人の距離を勉強して行かれるとのこと。う〜ん。ですよね。

実は5月に「ウィンザー」の陽気な女房たちの東北バージョン「勝田村の陽気な女房たち」に出演した際、その芝居のちらしをロビーに置ていただきました。

秋には「タイタスアンドロニカス」をやるのでまたよろしくお願いしますと言ったところ、「それはまた、すごいですね。みんながさけて通る作品を選ばれましたね。勇気がありますよ。シェイクスピアのファンで『タイタス・アンドロニカス』を観たい人、きっといるとおもいます。頑張ってください。」
と言って頂きました。ありがとうございます。
中山先生の温さに触れながら、あらためて「タイタス・アンドロニカス」を上演すること、そして彩乃木代表の情熱に誇りを感じました。
しっかりしないといけないなって思いました。

シェイクスピア美術館」は小諸駅下車すぐです。
日常の喧騒から離れ、落ち着いた至福の時間を与えてくれます。ホームページ見てみてください。美しい古典版画が掲載されています。

「タイタス・アンドロニカス」も一点ありました。ラヴィニアが小リューシャスを追って行く場面。タイタスとマーカスの品格、そしてのラヴィニア美しさに、息をのみました。

http://www.yamanakas.org/12_shakespeare/gallery/no61.html